平成二十七年六月八日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事
「今夏の再稼働が絶望的…鹿児島川内原発」
を企画、取材、執筆しました。
けさの産経新聞一面に「川内、検査やり直し 書類不備 夏の再稼働 絶望的」という記事がある。それによると、「原子力規制委員会が、再稼働の最終段階となる使用前検査を実施している九州電力川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)について、書類の不備や誤記が多数見つかったため、すでに終えた一部検査を8日からやり直すことを決めたことが7日、分かった。九電は再稼働の時期を当初の7月上旬から8月中旬に変更しているが、規制委からの指摘が相次いでおり、電力需要が高まる夏の再稼働が絶望的な状況になってきた」という。
書類の不備や誤記とは「具体的には、非常用電源設備につなぐ燃料配管の口径が、九電が示した資料の値と、メーカーが施工した際の元記録の値で違っている」など。「九電によると、検査に携わる人数は、当初の約200人から約420人に倍増させたものの、計画に追いつかない状態」という。
ちなみに、いまや脱原発の急先鋒となった観のある小泉純一郎・元首相は、5月11日付の毎日新聞でこう語っている。「『草の根はますます脱原発だよ』『老若男女、映画に行ってもコンサートへ行っても、歌舞伎に行っても、『(脱)原発がんばって』って握手求められるんだよ」「マスコミが抑えられてるんだよ。原発産業は裾野が広い。鉄鋼から建設、機械、セメント、(コンピューター)システム業界もそう。この支配構造ってのは大したもんだよ」
「矛盾に満ちてることがたくさんあるんだよ。規制委員長がだよ、『規制基準には合格したけれども安全とは申し上げない』と言ってるんだよ。なのに政府は『安全基準に合格した、世界一厳しい安全基準だから再稼働だ』って」「世界と比べてねえんだよ。ちょっとアメリカと比べりゃ、足りないところばっかりだよ。どうして正直に言わないの? よく平気でウソが言えるね」
「千万人といえども吾(われ)往(ゆ)かんだよ」「焦るな、他人をアテにするな、あきらめるな。民主主義国家なんだから最後は国民の意思だ」
安倍政権については「批評はしたくないんだよ。ただ、原発だけは違うんだよ。根っこの問題なんだ。自分が間違った(小泉政権で推進した)ことをこのままにしていいのかって言えば、そうじゃないだろうって。やればできる。過去の変化に比べりゃ、できないことないよ」
なお、ジャパンタイムズによると、先週6月4日にも小泉氏は、安倍政権が、川内原発を再稼働させようとしていることを批判し、もし安倍首相が決心しさえすれば、日本は原発なしでやっていくことができる、首相が歴史的役割を演じることができる非常に稀な時期だ、と訴えた。
また、鹿児島県屋久島町の口永良部島の火山噴火で居住者全員に避難指示が出たことに言及し、地震や噴火といった自然災害が多い日本は、原発があってはならない国だ、と語ったという。
なお、火山噴火だけではなく、地震も、つい先日5月30日に小笠原諸島西方沖で強い地震があり、日本列島全体が震撼したばかり。マグニチュードは推定8.5(のちに気象庁はマグニチュード8.1に下方修正)に達した。
日本は、原発をもってよいのか?――この問いに対し、国民一人一人が責任をもって答えを出さなければいけない。(佐々木奎一)