平成二十七年六月十五日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事
「発がん物質、肺炎誘発…電子たばこリスク」
を企画、取材、執筆しました。
今日の朝刊は休刊。昨日の日本経済新聞に「メディカルNOW 電子たばこから発がん性物質―未成年へ規制の議論も」という記事がある。
それによると、国立保健医療科学院部長の欅田尚樹氏らが国内で流通する電子たばこ9製品を調べたところ、4品の蒸気から発がん性物質ホルムアルデヒドが検出され、うち2品は紙巻きたばこの濃度を上回っていたという。
「電子たばこ」とは、「ペンのような形をした吸引器に香料入りの溶液などを入れて加熱し、蒸気を吸い込む仕組み。『ベープ(VAPE)』と呼ばれ欧米を中心に普及した。日本では、ニコチンを含まない製品なら紙巻きたばこのような製造や販売の規制はなく、未成年も購入できる」という。
発がん性物質などを理由に、世界保健機関(WHO)は、「青少年や胎児に(健康上の)重大な脅威を与える」と勧告。このため厚労省は「規制の必要性を含めて検討する方針で、担当者は『しばらくは状況を注視する』としている」とのこと。
なお、6月4日付読売新聞夕刊によると、上記調査では、はつガン性物質ホルムアルデヒドのほかに「気管支や肺胞で炎症を起こし、肺の機能低下を招く恐れがあるグリオキサールやアクロレインも検出された。グリオキサールはせきを引き起こしたり、目などの粘膜を刺激したりする危険性がある。産業技術総合研究所研究グループ長の蒲生昌志さんらが、動物の実験結果を参考に、健康影響を検討したところ、ホルムアルデヒドとグリオキサール、アクロレインの濃度は悪影響を与える危険性があると評価された」という。
2月4日付の英国紙インディペンデント電子版も、電子たばこは、肺炎や、風邪への抵抗を弱める、と科学者の研究結果を報じている。電子たばこの中には、フリーラジカルというDNAを傷つける有毒物質が含まれる製品もあり、マウス実験で呼吸器感染症が増えたケースもあるという。
ちなみに、欧米の多くの国では、ニコチン入りの電子たばこについては、たばこと同じ扱いで未成年の吸引を禁じている。日本は、個人輸入しない限り、ニコチン入りの電子たばこは入手できない。だから、未成年でも電子たばこを使用できるわけだが、前述のように身体に害を及ぼすリスクはある。それに個人輸入ルートでニコチン入りの毒性の高い製品を使う未成年も現れることは想像に難くない。
そのため、規制を求める強い声がある。たとえば、国立がん研究センターの望月友美子・たばこ政策研究部長は「液体成分には、香料と称してさまざまな化学物質が含まれ、それらを加熱して吸った場合の安全性は不明だ。海外では子どもの誤飲なども起きた。家庭用品規制法など既存法による迅速かつ包括的な規制を検討すべきだ」「新たな喫煙や危険ドラッグの誘発になりかねない」と訴えている(同)。
少なくとも未成年の使用は禁じる必要があるのではないか?(佐々木奎一)