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Channel: ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一
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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるで バックボーン 一

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 京都市「猫エサやり禁止」条例は、既述の京都市の役人による「犬猫等ふん尿被害対策検討プロジェクトチーム」が具体化していった。その経緯、会議の中身に入る前に、この条例ができる背景を記す。

 そのためにまず、直近一年分(2015年度)の京都市の猫の殺処分の実態を調べた。

 2015年度の京都市の猫の引き取り数(保健所に持ち込まれた猫の数)は約1200匹。そのうち約1000匹は殺処分された。約80匹は幸いにも新たな飼い主に譲渡され、残りの百数十匹は病気や怪我により死亡。一匹だけ返還されるケースもあった。

 同市の猫殺処分数の推移は、2009年度が引き取り数1877(殺処分数1746、以下同)、10年度1776(1617)、11年度1648(1511)、12年度1423(1218)、13年度1134(938)と近年、減少傾向にある。これは全国的な傾向である。

 環境省によると、日本全体でも09年度177,785(165,771)から、10年度164,308(152,729)、11年度143,195(131,136)、12年度137,745(123,400)、13年度115,484(99,671)と、年々減少している。

 だが、京都市だけは今後、この全国的なトレンドに逆らい、猫の殺処分や人知れず死んでいく猫が急増することが予想される。つまり、現状の殺処分以上の悲劇を招くリスクが高い。

 猫の殺処分は、大別して2種類ある。

 一つは、飼い主が、成猫や子猫を保健所に持ち込むケース。

 もう一つは、飼い主以外の人間が、自活できない猫(幼猫、3か月未満程度の動き回れない子猫、事故や病気で弱っている猫や子猫)を保健所に持ち込むケース。動き回れる自活できる成猫は、飼い主がいる可能性があるため、持ち込むことはできないことになっている。

 ほかに警察署や学校などの公的施設の前に箱や袋に子猫を入れるケースもある。こういう場合、警察や学校は、保健所に持ち込み、ほとんどの場合、結局、殺処分される。

 この殺処分システムが、実際にはどのように運用されているのか、調べてみた。

 すると、驚いたことに、京都市では、殺処分の手続き時に作成している文書のなかに、引き取る猫のいる場所の周辺で猫にエサをやっている人がいるかどうかを記録する書類をつくっていたのである。

 この書類は一体、いつから使用しているのか? 京都市保健福祉局に聞いたところ、2010年頃からだという。

 2010年ということは、あのマッチポンプ公明党市議・吉田氏が初めて犬猫の糞尿について議会で質問する一年前ということになる。

 野良猫へのエサやり禁止は、京都市では深く根付いた思想、バックボーンである証左である。

 (続く)


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